平成28年10月本部月例研究会のご報告.
馬の博物館主催「秋季特別展 信長の馬・秀吉の馬」にともなう、シンポジウム「中近世移行期の街道と馬」が開催されました。当「保存会」専務理事竹村雅夫が3人のパネラーの一人となりましたので、10月本部月例研究会をこのシンポジウムにあてました。
10月29日(土)馬の博物館イベントホールで行われたシンポジウムは、当「保存会」・戦国史研究会のメンバー等100人を超す参加がありました。パネラーの柴裕之氏(千葉県文書館)は「織田権力の交通・流通政策」、
戸谷穂高氏(東京大学史料編纂所)は「豊臣政権下における交通と物流―東日本を中心に―」、竹村雅夫は「伊達政宗の愛した具足“雪下胴”」という内容でした。
柴氏からは、一般的に言われている「関所撤廃」「楽市楽座」は戦国大名がすでに行っていた政策であり、織田信長が先進的に行った政策ではない。ただ織田政権は他の戦国大名と異なり広い地域に政策を及ぼした点が特徴であるとの報告がなされました。
戸谷氏からは、上方から江戸への交通の具体例として豊臣秀吉が徳川家康へ旭姫を正室として送り出した際の秀吉からの指示書や秀吉実母を人質として家康の元へ送る際の秀吉の指示書を紹介しながら通り道を支配する領主が責任分担をしながら行ったことなどが報告されました。
竹村からは、『伊達天正日記』からみた政宗の甲冑に対する強い関心や、上杉謙信や武田信玄・勝頼等のように神仏に頼ることなく合理的な精神だったことが語られ、伊達政宗が好んだ雪下胴(ゆきしたどう)の特徴を実際の胴を用いながら説明がなされました。