平成28年11月本部月例研究会のご報告.
11月27日(日)午後2時から水稲荷神社参集室で「安土桃山時代から江戸時代初期と思われる各種胴について」をテーマに本部月例研究会が行われ28人の参加がありました。講師は当会常務理事の菅野茂雄。講師が貴重な胴を8領と喉輪等を持参し、当世具足と比較するための室町時代末の色々威腹巻を当会常務理事大塚徹が1領持参し研究会が始まりました。
笹間良彦著『甲冑鑑定必携』から抜粋して資料とした胴丸・腹巻・当世具足の名所(各部の名称)の中で、当世具足の望光板(ぼうこうのいた)を押付板(おしつけのいた)、鬼会(おにだまり)を胸板(むないた)、と書き換えて欲しいと指摘があった。次に肩上(わたがみ)や胴の寸法の取り方の説明があり、相馬野馬追(そうまのまおい)では実際に着用するため寸法を測る必要があると話されました。
次に今回のテーマである「安土桃山時代から江戸時代初期」の特徴を13項目あげ、その中でも重要視したい5項目「肩上が革製である」「押付板に三日月板(みかづきのいた)がない」「脇板が山形である」「発手(ほって)の反りが浅い、もしくは反りがない」「草摺の一の板の両端が外側へ反っている」について講師が持参した胴の実例を示しながら説明がありました。特筆すべきは「草摺の一の板の両端が外側へ反っている」という指摘でした。
40年以上にわたって相馬野馬追に出陣した経験から、草摺の一の板の草摺の一の板の両端が外側へ反っていると、片膝を付いたときに草摺が膝の内側に溜まらず、外側へ流れるので使い勝手が良いという発言はなぜそうなのか、また実戦が無くなってからは廃れた技法であることの理由を考える時の示唆に富む発言でした。
今回は研究会終了後、時間の許す人対象に、講師が指導しての当世具足の着用体験もおこない、着用順・太刀の着装等も学ぶことができ大変有意義な研究会となりました。