平成30年4月本部月例研究会のご報告.
テーマ:初心者のための馬具講座(1)「鐙」
4月8日(日)は水稲荷神社参集室を会場に当「保存会」常務理事の菅野茂雄氏にプロジェクターと約40双の鐙を使って紹介していただきました。
最初に用意いただいた資料を基に「鐙の始まり」をお話しいただきました。食用だった馬を農作業用に使用し、当初は足を掛けて馬に乗るために鐙は作られたため、左側にだけ設けられたとする最新の説の紹介が有りました。講師からは馬は3歳になると子供を生むことが可能なため騎馬民族による品種改良により背が高い馬が生れ、乗馬するために鐙が必要となった可能性もあるとのことでした。なおヨーロッパでは7世紀ごろから鐙が使われていることがレリーフ等で分るとのこと。
鐙の形状から分類すると輪鐙(古墳時代)・壺鐙(奈良時代)・半舌鐙(平安時代)・舌長鐙(鎌倉時代以降)がある。鐙の素材は木・木と鉄の組み合わせ・鉄・真鍮・アルミ(現代)で、鉄は鍛造と鋳造がある。装飾として漆・螺鈿・象嵌・彫りがあり、漆には平蒔絵・高蒔絵、象嵌には真鍮・銀・銅・四分一等が用いられる。産地別に分けた場合、加賀掛・日野掛・会津掛・知多掛・京掛があるとのこと。
講師が持参した鐙で実例を示しながらの解説いただき実に様々な鐙があることが分りました。鐙に関心がある会員ばかりか、今まで鐙を手に取って見たことがない会員にとっても、南北朝時代から江戸時代までの鐙の変化、江戸時代の真鍮製の貴重な鐙や各産地の在銘の鐙を目にする機会に恵まれ大変貴重な体験ができた月例研究会でした。
なお、10月か11月に「初心者のための馬具講座“鐙”パートⅡ」として、「和式乗馬はなぜ右から乗馬下馬するのか、鐙の外掛け内掛けの目的と変化」を中心にした月例研究会を予定します。