平成31年2月本部月例研究会のご報告.
テーマ:「大袖から変わり袖まで―持ち寄り鑑賞と意見交換―」
2月10日(日)の月例研究会は菅野茂雄氏(当会常務理事)をお招きしました。講師が準備された大袖、広袖、壺袖、当世袖(小袖)合計21双、その他会員が持参された大袖2双、広袖1双、壺袖1双、当世袖3双、総合計28双が皆様の好意により持参していただきました。
初めに、本部月例会研究会の表題にあります様に平安時代から大袖、南北朝時代から広袖、室町時代後期から壺袖、安土桃山時代から置袖と変遷した流れをお話しいただき、
皆様に持参していただいた袖の特徴等を一つ一つ丁寧に説明下さいました。
私見としまして A4版レジュメを使用し、特に 安土桃山時代~江戸時代初期にかけての各袖・籠手の特徴を中心に説明頂きました。
特徴は
一・冠板,折れ冠が平で無く外側に丸みが有る物、上反りの物は江戸期に多い、ただし広袖壺袖の3分の1幅程度。
一・冠板の彎曲が江戸期より強く、腕なじみが良い。
一・冠板が一の板より狭い物も有り(江戸期も少ないが有り。)
一・綰穴が二穴も有り、四穴がほとんどだが袖の影響であろうか。
全形
一・壺袖形 一・板物一紋字頭小札 一・現存は毛引き威し多い、糸細い物有り 一・裾板の両端江戸期より丸み有り 一・裾板下から一から二又は、一から三まで隅切り有り
一・裾板に家地付けの穴がある物は仕付袖(毘沙門袖) 一・裾板に家地付けの穴が等間隔
は鎖付け有り。
裏
一・裾板下から二か三段目に家地(力革)付けの穴有り 一・裾板下から二か三段目に家地に
責鞐又は紐付きは置き袖の可能性有り 一・裾板下から二か三段目に家地に責鞐二か所は繋ぎ籠手も有り 一・家地が布革有り、籠手摺り。力革とかの名称有り。
また講師が持参して下さいました胴丸具足を会員の方に着装していただき、水呑の緒の役目、
矢摺革がどの様にして役目を果たしているのか等、大変ためになる物を見せていただきました。
最後の質問の時間には色々な質問が出ましたが、菅野常務には丁寧にお答え頂きました。
今回の例会も33名の参加者で盛況な研究会となりました。