令和元年9月本部月例研究会のご報告.
「法隆寺西円堂奉納兜について」
9月29日(日)の本部月例研究会は、松本国彦氏(当会副会長)が担当しました。講師が7頭と会員2名が各1頭持参し兜鉢9点が展示され、加えて竹村雅夫氏(当会専務理事)が西円堂から流失したと推定される柄を持参されました。参考資料は末永雅雄著の日本古文化研究所『法隆寺西圓堂奉納武器』の一部抜粋(A4版2枚)が配布されました。
法隆寺西円堂は奈良時代に創建され、鎌倉時代に再建された建物で、堂内に創建当時の薬師如来が安置されています。そのため西円堂は古くから薬師如来の信仰により多数の参詣者を集めてきました。このためか、刀・槍・弓・兜等の武具類のほかに鏡・錐(きり)などが多数奉納されました。以上のような法隆寺西円堂の歴史を説明していただきました。
また西円堂奉納品と同時期(室町時代末)と考えられる展示された兜、(突盔形兜・頭形兜・阿古陀形兜・桃形兜)と『法隆寺西円堂奉納武器』の資料とを、照し合せながら丁寧に説明していただきました。
松本氏は、西円堂奉納品の前立・頭立などが特別長く、大変大型の誇張的な立物を用いたことを想定させるものが多いのは何故か、また前立・頭立の角元が後補のものが多いのは何故かなど、これからもっと調査研究していくことが、本「日甲研」の務めではないだろうかと発言し研究会を締め括りました。
今回の本部月例会も遠くは京都から参加した会員も含め、26名の参加者で大変盛況で有意義 な研究会となりました。