6月本部月例研究会報告.
6月の月例研究会は、
当会常務理事で中世から近世の武具に詳しい竹村雅夫氏に
『義通』銘の七十二間筋兜、天文六年紀『高義』銘兜他5点を前にして
作風、特徴の紹介と共に今後の研究課題を提議していただきました。
特に興味深かったのは、
持参の六十二間筋兜『義通』二例が同人作で壮年、熟年の作であり、
それぞれの比較点から参加者で納得する人が殆どでした。
その作域は息を呑むほどで、天辺の規則正しい重なりは、
粘土を用いてもこうは成るまいと感嘆仕切りでした。
また『高義』は、工房職人か、親族劣位に有る者で、
その作が優劣つかない程なのにその作品が少ない理由としました。
日ごろ目にする兜鉢中、六十二間縦矧の鉄筋鉢は数多くの部分を占めるがゆえに
少しの違いしか持たないと見え、高級品なのにも拘らず、
作者、技法に研究が最近まで詳細には及んでいませんでした。
ところが仔細に見れば、その変遷、技法、鉄材、優劣は多彩で、
多くの研究課題が残されたことに気付かされた例会でした。