令和元年6月本部月例研究会のご報告.
「額当(鉢金)持ち寄り研究会」
6月23日(日)の本部月例研究会の講師は松本国彦氏(当会副会長)が担当しました。講師・会員(2名)が準備した額当・折畳式額当等47点が会場に展示されました。山上八郎著『日本甲冑の新研究 下』、笹間良彦著『日本の甲冑武具辞典』から抜粋しA4版3枚に編集した資料を参考に研究会は始まりました。
初めに額当は、額金または鉢金と称し室町時代頃から現れ、鉢巻に縫い付けたり、左右端に紐を付けて頭の後ろで結んだりして用いた。室町時代後期の兜の内眉庇の形に似ているのは、眉下の線なりに抉ったからで、ときには打眉を打ち出したものもあると説明がありました。
次に江戸時代後期には折畳式に鎖を付けたものが流行し、さらに頬に杏葉状の垂を付けたもの、頭上に伸ばせば兜鉢になるもの等さまざまな工夫を凝らしたものも作られたことについて説明がありました。
額当の種類・材料・構造また歴史的変遷をパワーポイントや多くの実物を示しながらの説明に参加者は大変興味深げでした。
今回の研究会が意義深かったのは、額当の現物の数が47点と大変多かっただけではなく、説明いただいた額当の種類が豊富であったことでした。また文献に掲載されているものと現物の対比ができたことで、説得力のある研究会となりました。さらに新入会員の方にモデルになってもらい、講師がモデルの頭に被せ着用した際の様子を見ることができたことは、参加した会員にとって貴重な体験となりました。
展示物の見学時間終了後に行った、最後の質問と意見交換の時間には色々な質問が出ましたが、講師には丁寧にお答えいただきました。今回の例会は、新しく入会された2名含め遠く新潟県や佐賀県在住の会員等25名の参加者で盛況な研究会となりました。